エジプトコスモスの神殿

「エジプト、コスモスの神殿」と題するこの新たな傑出した作品は、著者であるエルネスト・バロン氏の3年間に及ぶ集中的な歴史的研究の成果であり、本書においてエジプト学と、歴史および考古学の知識の見事な融合が為されている。

著者のお陰で、時間を旅し、かの最初の時、ないしはゼプ・テピへとさかのぼって、ピラミッドや神殿を巡る特別で忘れられない旅に浸る一方で、名高い古代の都市、アビドスやペル・ラムセス、メンフィスなどについても見出していく。そこで、軍人の偉大な王朝のラムセス家の人々の大半が生まれた。中でもセト1世とその息子のファラオで、愛する妻ネフェルタリ王妃と共に統治したラムセス2世「大王」が傑出している。

著者エルネスト・バロン氏は、セラペウムの巨大な石棺や、アブ・シンベルの建設、ラムセス2の永遠なる神殿ラムセウム、謎めいたハワーラの迷宮、記録の間、その他の興味深い場所といった、大きな神秘についての調査をもって、私達を驚かす。

また、古代のファラオの墓の探求にも導いてくれる。その多くは盗掘され、ミイラや財宝が盗まれ、当時の様々なコレクターや世界の大博物館の展示室を飾るべく、大金と引き換えに売られた。

だが、それらの盗掘者や、ファラオの永遠の眠りを大胆にも妨げて、その遺物を盗んだ者達は、彼らに降りかかる呪いの犠牲となり、その多くが、せん妄や精神異常の症状を呈して、病気になったり死んだりした。

しっかりとした資料に基づく多くの実話を通して、著者エルネスト・バロン氏は、プロの墓荒らし達の事例について伝えている。彼らはその行為の罰を免れず、呪いの犠牲となり、またミイラの入った石棺を積んだ船が難破したり、ひどい嵐に巻き込まれたりした。

その最も有名な事例が、ツタンカーメンの呪いであり、この興味深い作品で詳細に説明されているように、これには偉大な考古学者や探検家が巻き込まれ、さらには現在まで続いている。

しかしながら、これらの呪いにも関わらず、ミイラがひどい扱いを受けなければならなかった、壮絶な逸話も存在する。多くの労働者が王や王妃の休息を妨げ、略奪に走ったため、神官達は後の冒涜を避けるべく、その場所を移して、さらに秘密の場所に埋葬することにした。

泥棒達はすぐに貴重な遺品に気づき、全てを手に入れて高値で売る計画を立てた。彼らはまた、ミイラの売買に従事し、解剖医らはミイラ開封ショーを提供した。その薬効とされる力といった全てが大きなビジネスを生み出し、多くのミイラの偽造につながった。

この傑出した本ではまた、著者が世界で初めて、歴史の知られざる部分、たとえば古代エジプトの儀式や祭り、祝典について明らかにしている。中でも特筆すべきは、ファラオの戴冠式や、オペト祭、同じくヘブ・セド祭ないしは王の若返りの祝宴などである。

本当にこの興味深い作品は、私達を古代エジプトへといざない、その楽しませてくれるページを通してみていくように、輝かしい過去のものであると当時に、現在にも大いに関連しており、未来にとっても極めて重要な大いなる謎を、私達に示している。