タオ・ティエン

この興味深い書「道天(タオ・ティエン)」は、古代の遥かなる中国文化の伝説の地へと私達を連れていき、その深遠なる叡智に入り込み、実践的かつ現実的な形でその教えを生きるよう私達をいざないます。 本書の著者である著名な作家エルネスト・バロン氏は、「天子達」の神話や伝統から始めて、この謎めいた古来の文化について、縁起の良い叡智の龍や鳳凰、天帝、不死の存在(仙人)、古代の王朝について語りつつ、また極めて進んだ、現在まで効力を持つ医学についても触れています。

 

精神的で宇宙的な部分と、人間的で地上的な部分とを融合させる、賢明な組み合わせをもって、研究者エルネスト・バロン氏は、この古来の中国文明の起源となり、これに命を吹き込んだ創造の神々、天上の存在、その神話について知るよう私達をいざないます。中でも傑出した神々を挙げるなら、天上の母なる女神斗母元君、慈悲の女神観音菩薩、創造の神々伏羲と女媧がおり、その崇拝は、古代より中国民族の本質に根付いています。 時の始めから中国の国家を指導した三皇五帝についての興味深いテーマでは、中でも傑出しているのが黄帝で、彼は戦士の神であり、文化をもたらし、発明家で、妻である王母娘と共に天と地を統治していました。王母娘は不死の桃を有しており、彼らは聖なる崑崙山脈の翡翠の宮殿に住んでいたと言います。

また中国を統一した最初の皇帝、秦の始皇帝についても特筆すべきであり、彼は全長5,000㎞に及ぶ万里の長城を築きました。万里の長城は、天空の龍が地上に映し出された象徴であり、世界七不思議の一つです。 この素晴らしい本では、その魅惑的な文化の古来の象徴、守や亀、神秘的な飾り結び、竹、菊、桃、牡丹、中国の独特の硬貨、数字の重要性などについても、この広範な文化から最も意義深いものを抽出し、西洋的な考え方にもより把握しやすく、内面的に役立てられるように説明されています。

世界の根本を成す二つの力であり、存在する万物のバランスを一体となって示す陰と陽といった原則について掘り下げ、また易経の基本についても述べています。易経は、神託もしくは変異の書として知られ、世界の偉大な知恵の書の一つです。では、「気」もしくは宇宙全体に存在する生命の原初のエネルギーに関する深い知識については、何が言えるでしょうか?それは、中国の古来の、賢明な伝統的医学の実践の土台となるものです。

第二部に入ると、著者エルネスト・バロン氏は、実に優れた形で偉大な哲学者孔子の知恵と教えに私達を近づけてくれます。孔子は常に個人や家族、統治者等の教育を模索し、中国社会の道徳的、倫理的基盤を築きました。そうして儒教や道教、仏教、禅宗の教えに基づいて、己を知り向上したいと熱望する全ての人に大きな恩恵をもたらす、内面および外界の調和の探求や、感情的な安定と成長、思いやり(仁)、赦しといった美徳について、伝えています。

この類まれな作品の第三部では、著者は中国の偉大な哲学者老子の生涯と作業が私達に遺した賢明な教え、タオ-道の精神的な教育、素晴らしい道徳経を通しての純粋な知識、気の三つの宝を身につける必要性など、タオの探求において私達を指導する基本的で深い教えへと導きます。

ですが、タオとは何でしょうか?その起源は何でしょう?その教えはどのようなものでしょうか?どうすれば、タオに即して生きられるのでしょうか?これらは、マインドで答えることのできない疑問です。タオを言葉で説明することはできません。ただ感じられるのみです。この貴重な本の中で著者が述べるように、タオ、道を求める者にとっての最初の一歩は、シンプルで継続的な形での反省と瞑想、今ここで、絶え間ない現在において瞑想するやり方を知ることです。

この素晴らしい作品では、道-タオのカギについて示されています。それは一瞬一瞬タオを生きること、宇宙のあらゆる片隅に、そしてまた私達の心の最も奥深くにも宿るその素晴らしい神聖なエネルギーをもって振動すること、現在を、永遠なる今を生きることです。著者が述べるように、タオ-道は幸福そのものであり、健康の源、前向きさ、完全で普遍的な真実です。そして、この素晴らしい本の示す手順に従い、この道を進むよういざないます。えも言われぬ神聖な宇宙の橋を渡って、大いに切望される道天に至ることができるように。タオとは道であり、私達の幸福に直接通じる経路です。それが天に至る道、道天なのです。