抜粋 新たな展望に向けて

「『人格形成と振る舞いの世界』で効果的に身を処したいなら、適切な人間的ルールに支えられた社会状況に私達を導く『正常な倫理と責任感を作る』ことが不可欠である。」

「あらゆる意味で良好な人間関係を得るために、高貴さ、誠実さ、正直、楽観主義、忠誠、兄弟愛等を含む人間的な価値を私達の中に確立することは、極めて必要不可欠である。」

「私達が受けてきた『生活における正しい、あるいは間違った教育』が、ほぼ常にバランスの取れた人格か、あるいは多くのケースで見られるような偽りの人格を形成することは、完全に実証されている。」

「もし貴方が『社会心理分析』力を有し、それを少しでも活用するなら、私達の生活の多くの場面が堂々とした『偽り』に基づいていると発見できるだろう。そしてそれは、正直な人々にとっては嘆かわしいことである。そのためこの種の人間関係への関与は、実質的に全ての関係を退廃させると言え、このことは、いかなる意味においても全く健全とは思えない。」

「体を清潔にしない、汚れた髪、汗ばんだ服、悪臭、汗まみれ等は、体や精神の進化とは全く相容れない上に、場を共有する他の人々に対するひどい『配慮のなさ』でもあると理解するべきだ。実際には感覚が麻痺していて、そのことにすら気づかないのだ。それが私達を支配している肉体-心理の退化の問題であり、そのためごく僅かな人々だけが認識し、残りの人々は容易に影響され、長きに渡り見て見ぬ振りをし、最終的には同じ状態になる。」

「一般により感受性の強い人は、より『魅了され』やすく、起こるどんな出来事にもより敏感になる傾向があるが、不都合なことに、これはまた全く被害を受けないでいるためにエゴが利用する『一つの防御の形』でもある。そこから空想や幻想、心理の亡霊、気紛れ、奇行等が生まれるのだ。

それは極めて明白な爆薬のようなものであり、ひどくもろく感じやすいこれらの心理状態のために、人が自分に危害を加えるとか、利用しようとすると思わされるのだ。そしてこの傷つきやすさを言い訳に『私達は身構え』、いかなるものであれ、ある種の自己防御を探す。」

「苦悩、苦悶、苦難に満ちた人は、特に人生の多くの出来事に対する何らかの同一視や魅了、幻惑にどうしようもなく陥るという特徴があり、それが前述の厄介な状態に陥るよう促すのである。体や心理には限界があり、酷使するべきではないと十分に理解しなければならない。というのも最終的に、それ程の抑圧に対し『私達に請求される勘定書き』が極めて大きな額になるからだ。苦悩が限界を超え、苦悶が加わると、体だけでなく、心理や振る舞い、知的、感情面にも徴候が現れ、明確な自己表現の欠如が明らかになる。それはいかなる観点から見ようと、深刻な事態である。なぜなら一般に普通である多くのことにおいて失敗するためだ。」

「同じく、落胆に挫折や幻滅が伴うなら、結果としてあらゆる領域に『敗北主義』をもたらす。既に他の項で触れたが、敗北主義も私達人間が持ち得る最悪の過ちであり、どれだけひどく辛い原因があったとしても、心理的なもろさを正当化する理由にはならない。」

「同様に『注意欠陥または多動性障害のシンドローム』も存在し、これは注意力と振る舞いの管理力の問題である。なぜなら、そこには衝動性や多動性が際立って見られるからだ。触れているのは、社会の現場や家庭における『感情的な調整の欠如』のため、とりわけ『子供達』の間で非常に広まっている不快感についてである。」

「それゆえ、恐怖症が力を持ち、誰かを支配する時、私達が持ち得る能力を確かにしのぐ『全てに対する過剰な恐れ』となり得ると言える。そして、まさにこれらのことから、多くの場合、『奇妙で、ひどく怯えた人々』に出会うことがあり、あるいは私達自身が、決して自分が持つとは思わなかった『おかしな行動』を示すのだ。この理由から、これらの表れは常に私達の心理に潜在的に存在すると私達は考えている。そしてできる限りあらゆる方法で避けようとしても、心理的に深い作業をしないうちは、それらが私達を煩わすことになる。
問題は、この病いが増大し、さらに慢性的となる時、全てはさらに難しくなり、その人が自らの人生の『心理の中心軸』を失うことである。これが原因となって、 恐怖症を持つ人全てが多くの場合、 その拠り所である大げさな表現に駆り立てられるのである。」

「実際、何らかの種類の妄執を経験した、つまり時に自らを苦しませるような何らかの考えや感情、あるいはその他の正当化され得るような態度に『捉われて』不条理な形で苦しんだことがある人を見出すのは、何ら難しくはない。実際それは手遅れにならないうちに対処しなければ、微妙な問題となる。なぜなら後に悪化し、それらの考えを放置する人にとっては、その『苦痛な考え』が、多くの場合複雑で限界の多い状態に陥らせるからだ。つまり完全に制限された心理となり、そのことで自然に過ごせるはずの生活や仕事、あらゆる種類の人間関係を困難にする『不安』あるいはひどい『抑うつ』状態までもが生じる。その全ては、かの有名な、そして日増しに顕著になっている妄執によるものなのだ。」